SLAM DUNK』(スラムダンク)は、バスケットボールを題材にした井上雄彦による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』にて、1990年(42号)から1996年(27号)にかけて全276話にわたり連載され、アニメやゲームも制作された。 主人公の不良少年桜木花道の挑戦と成長を軸にしたバスケットボール漫画。単行本第21…
81キロバイト (7,967 語) - 2022年10月9日 (日) 18:51

原作ファンや旧作アニメのファンを巻き込み、大論争となった映画『THE FIRST SLAM DUNK』の声優交代。旧作からキャストを一新するという大胆な方針だが、近年の「ジャンプアニメ」ブームを見るかぎり、これは「正解」と言わざるを得ない。


スラムダンクを救うアイドル声優たち

「THE FIRST SLAM DUNK」は『週刊少年ジャンプ』の人気漫画を原作とした新作アニメ。『SLAM DUNK』といえば、1990年代に放送されたTVアニメも大人気で、草尾毅や緑川光、置鮎龍太郎といった現在のベテラン声優がキャストを務めていた。

しかし「THE FIRST SLAM DUNK」では、主要キャラクターの担当声優を一新。主人公・桜木花道役を木村昴、花道のライバルの流川楓役を神尾晋一郎、主将の赤木剛憲役を三宅健太が務めることなどが明らかとなっている。

ここで注目すべきは、桜木と流川の声を演じる2人が、近年大ヒットした『ヒプノシスマイク』の声優であること。木村は山田一郎、神尾は毒島メイソン理鶯というキャラクターの担当だ。同作は若年層や女性からの人気が高く、キャスト陣は「ヒプマイ声優」としてライブイベントなどに出演することもある。

そして彼らが演じる桜木&流川は、作中でも大きな存在感を放つコンビ。この組み合わせに女性人気の高いヒプマイ声優が配置されているのは、おそらく意図的なものだろう。

新キャストについて穿った見方をすれば、旧作アニメを愛する男性ファンではなく、新規女性ファンを取り込もうという野心を読み取ることもできる。

この点も旧作のファンに大きな反感を買った原因かもしれないが、実際には戦略として「正解」と言わざるを得ない。それは近年社会現象と化している、いわゆる「ジャンプアニメ」の大ブームを見ても明らかだ。

「ジャンプ」ブームの鍵は女性人気?

『鬼滅の刃』から始まり、『呪術廻戦』に『チェンソーマン』と続く空前の「ジャンプ」アニメブーム。本誌ではなく『ジャンプ+』まで含めれば、『SPY×FAMILY』もその流れにあると言えるだろう。

これらのヒット作には女性ファンが多いと言われており、劇場版が大ヒットした「鬼滅の刃」には煉獄杏寿郎、「呪術廻戦」には五条悟といった花形の人気男性キャラクターが存在する。

その一方で、「ジャンプ」原作でありながらブームの波に乗れなかった作品も少なくない。たとえば劇場版が国内で微妙な興行収入を記録した『ドラゴンボール』、令和によみがえったが社会現象にはならなかったTVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』などだ。

いずれも人気はそれなりに出たものの、「ジャンプ」アニメブームの恩恵には十分授かれていない印象。それは主なファン層が男性にかぎられており、女性人気まで発展しなかったことが原因かもしれない。

作中にアイドル的な人気のキャラクターが存在するかどうかで、グッズの売り上げや劇場版のリピート率などは大きく変わってくる。「THE FIRST SLAM DUNK」の制作陣は、それを理解しているからこそ、旧作ファンに反感を買いそうなキャスト変更に踏みきれたのではないか。

かつて「SLAM DUNK」に夢中になった少年たちも、今では立派なオヤジ世代。このまま老害ファンと沈んでいくオワコンとなるか、それとも若い女性ファンの心を掴んで一発逆転のブザービートを決めるのか、試合の行方を見守りたい。

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